ZR1 実走レポートNo.10
Z06とZR1 トランスミッション ギア比 比較
1速 | 2速 | 3速 | 4速 | 5速 | 6速 | |
Z06ギア比 | 2.660 | 1.780 | 1.300 | 1.000 | 0.740 | 0.500 |
ZR1ギア比 | 2.290 | 1.611 | 1.208 | 1.000 | 0.818 | 0.675 |
Z06/ZR1共にデフのギア比は3.42:1でリングギアとピニオンギアは共通となるが、LSDとデフのケースは異なる。ZR1のLSDは初期の立ち上がりが早く効きが強い。またZR1のデフケースはZ06に比べてリブが多く、剛性が高そうだ。
各ギア6,500回転での速度 標準3.42:1デフと68cmタイヤでの計算値
1速 | 2速 | 3速 | 4速 | 5速 | 6速 | |
Z06速度(km) | 92 | 137 | 187 | 243 | 329 | 487 |
ZR1速度(km) | 106 | 151 | 202 | 243 | 298 | 361 |
一見Z06の方がギア比が低く出足が良さそうに見えるが、1速はホイールスピンが発生するのでギア比が高いZR1の方が有利だ。また2010年式ZR1からLaunch Control(ローンチコントロール)が採用された事でホイールスピンが上手く制御され、更に出足の加速が良くなった。因みにDodge Viperはトランスミッションのギア比はZ06とほぼ同じだが、デフのギア比は約3.07:1と高い。加速は高いデフギア比と48:52の重量配分で(1速ギアが有効に使える)ホイールスピンも少なく速かった。
最高速もZ06は5速で引っ張る事になるが、ZR1は6速が適度にクロスしているので6速6,300~6,400回転辺りで狙うことになる。実際の最高速は上記の計算値より3~5%程度下回る数値になる。但しZ06の487kmは計算上の数値であり、実際には5速6500~6600回転辺りがMaxだろう。
コルベットの場合、トルクの大きいZR1にクロスレシオのトランスミッションが搭載されているが、本来はZR1に比べてトルクが低く高回転型エンジンのZ06にクロスレシオトランスミッションを搭載する方が加速、最高速共にアップするはずだ。
WEST Z06にはZR1のクロスレシオトランスミッションを搭載した。ハイカム仕様のエンジンに良くマッチして速かったが、何よりシフト操作が楽しかった。
現在ノーマルカムのZ06にクロスレシオトランスミッションを搭載中なので、まもなくテストとレポートの予定。
6,500回転でシフトアップ後の回転数
1速→ | 2速→ | 3速→ | 4速→ | 5速→ | 6速 | |
Z06回転数 | 4,350 | 4,747 | 5,000 | 4,810 | 4,392 | |
ZR1回転数 | 4,573 | 4,874 | 5,381 | 5,317 | 5,363 |
これは各ギアで6500回転まで引っ張り、シフトアップ後の予想回転数(計算値)となる。
ZR1のクロスレシオトランスミッションの3速~6速は5300回転以上をキープしてシフトアップが可能となる。実際には若干前を持ち上げ気味の加速姿勢を保ったまま速度が上がって行く感じがする。対してZ06トランスミッションではシフトアップ毎に少し姿勢を戻してから再度前を持ち上げる感じだ。
ZR1 走行距離3,705km これまでの故障と不具合
ミッションOIL漏れ
走行距離は3,705kmとなった。コルベットは概ね2,500~3,000km位でエンジンのあたりが付いてくる感じがする。慣らしが完了し本来のパワーが出るのは4,000~5,000km辺りを目処と考えている。
これまでの故障は2,000km時にトランスミッションOILラインのフィッテングからOIL漏れが発生した。
ミッション本体下のOILクーラーラインの取り出しのフィッテングだ。専用のワンタッチコネクターでOリングを使用するタイプだが、OIL漏れは高速道路のパーキングに入った時、OILの焦げる匂いがして気付いた。
最初はトランスミッション本体のインプットシャフト辺りかと思ったが、分解してみるとOILクーラーラインのフィッテングと判明したので、まずOリングを新品に交換してみたが漏れは止まらなかった。次に少し太めのOリングを装着したが結果は同じだった。目視で確認できなかったが、フィッテングその物の不良と判断した。
検討の結果、同じフィッテングの新品に交換するより、信頼性の高いANフィッテング/ホースの方が漏れの心配が少ないと判断した。画像はANフィッテング/ホース装着後のトランスミッションOILクーラーライン。漏れたのは手前のミッション本体側。
フロントバンパーカバー上部の取り付け不良
これはZR1に限ったことではなくC6全般の不具合といえる。フロントバンパーカバーの最も上部でHoodとの境目の左右ヘッドライト内側に入り込んでいる、部分(追って画像を掲載)が反り上がってきた。特に左側の反り上がりが目立った。これはフロントバンパーカバーを固定しているリテーナーを新品交換して修理した。
同じくWEST Z06のこの部分を確認したが、やはり左側(Driver側)の方が収まりが悪かった。理由は不明だが、これまでの経験でも同様に左側が多かった。
ヘッドライトの自動点灯/消灯の反応が遅い
これもZR1に限ったことではなく、やはりC6全般の不具合。トンネルに進入してもしばらくヘッドライトが点灯しない。少し走行後にようやく点灯するが、トンネルから出た後もしばらく消灯しない。メーカーに改善を求めたい。
直進時の過敏なハンドリング
これはZR1特有の症状。285/30ZR19の太いフロントタイヤが原因と思われる。
道路の轍にも過敏に反応するので運転しにくい。
対策としては、
*タイヤサイズを変更する。ホイール幅が10インチなので275/30ZR19辺りとなる。
*アライメント調整。直進性が強くなる様キャスター等を調整する。
尚、上記トランスミッションOILクーラーライン フィッテングからの漏れは、2005年以降のC6及びZ06では一例も無かったが、同様のフィッテングからの漏れはラジエターサイドタンクのOILクーラーフィッテングで数回経験した。
以上が最近経験した故障及び不具合となるが、ZR1に乗ることはそれ以上の魅力があり全くNo Problemだ。梅雨の晴れ間にサイドウインドーを全開にして気ままに走るのは最高だ。明日は晴れるかと天気予報をチェックするのも楽しい日課になっている。
エンジン制御コンピュータのリセッティング その3 WEST ZR1
加給圧の立ち上がりの問題を解決すべく、主に点火タイミングの再調整を(ノック/リタードに注意しながら)数回行った。具体的には2,000回転前後から7,200回転まで(但しレブリミットは6,800回転)全域にわたりタイミングを見直したが、結果は明確に速くなった。まず排気音が甲高く弾けるような感じに変わってきた。テスト走行では3速4,000回転辺りからの加速は、タイヤの限界なのか怖さを感じた。
また6速でも踏み込むと明確に加速する様になり、気が付くとZR1での最高速度に達していた。
空燃比は安全圏内に収まっているので、安全マージンを考慮したセッティングとしてはかなり煮詰まったと判断した。
スーパーチャジャーの許容回転数に余裕のある19%増速プーリーでのこのセッティングは、低~中回転域での乗り易さは全くノーマルと変わらずお奨めだ。加給圧は0.95kg/cm近くまでアップ、プラグはNGKの7~8番もしくはDensoなら22~24となるが、アイドリングは全くノーマルと変わらず乗り易い。スーパーチャージャーの増速に伴い中~高回転ではキーンというエンジン音に変わってきたが、これがジェット音の様に聞こえるらしい。因みに32%増速プーリーの場合、2,500回転でも80kg/m以上のトルクを発生するというからすさまじい。
このセッティングでの馬力測定とその結果は後日にレポート予定。WEST ZR1は車高が低いのでフロントSplitterやサイドスカートを取り外さないと、シャーシダイナモでの測定が出来ない。今週は納車整備等大切な仕事が多く、それらが一段落してからの予定。
次はGT9カム交換とシリンダーヘッド加工を予定。ハイカム効果でプラス40馬力と7kg/mのトルクアップが可能だが3,000回転までのトルクは逆にノーマルカムを下回る。ここまでは19%増速プーリーでのチューニングだが、その後は32%増速プーリーでのテストとなる。この場合スーパーチャジャーの許容回転数の上限に近づくので慎重に検討中だ。