ZR1実走レポート No.8
コーナーWt 計での計測。
4輪の正確な荷重が測定できる。理想はドライバー込みで均等だが、ZR1/Z06共にかなり優秀な荷重分担となっていた。ドライバー無しでは左前が右前より軽く左右のバランスを考慮しているようだ。
ノーマルZR1はスーパーチャージャーと関連部品、19/20インチのタイヤホイール、助手席パワーシート等の重量増加でZ06と比較して80kg近く重いが、その重さが安定感に寄与したのか、タイヤとサス等変更後のWEST ZR1の走りはWEST Z06よりしっとり感がでた。
さて以前から思っていたが、大排気量のFRスポーツカーで車重が1,500kgを切る車は少ない。
例えばFerrari599やAMGのSLS等全て1,600kg超となり、カーボンモノコックフレームのレクサスLFAですら1,500kg近くの重量がある。これまで5年間乗り続けたZ06はBremboレース用ブレーキやカーボンHood等を用いる事で実測重量で約1,350kgと軽かったが、軽さ故か超高速での安定性では、WEST ZR1の方が楽というか しっとりした感じがある。(これはタイヤサイズやサスを改善後のWEST ZR1での印象。)前述のレクサスLFAが1,500kg近い重量という事に興味がある。おそらくFRならではの問題解決の意図もあるように思える。
ZR1のフロントタイヤサイズは285mmだが、これは一般的な市販スポーツカーの前輪サイズの中では最大クラスとなる。その太いサイズのためタイヤの面圧が低く、接地感が乏しい事もZR1の不安定さの一因となった。
ZR1等の大排気量FRスポーツカーには、1,500kg程度の車輌重量もタイヤの面圧や乗り心地等を総合的に考えると必要かもしれない。
コーナーWt 計。本来はアメリカ製のレース用でLONGACRE社製だが、丈夫で使い易いので20年以上前から愛用している。このコーナーWt 計は2代目。
ZR1の実測重量。燃料は約3/4。タイヤ/ホイール等で約23kg、シート左右で約20kg、排気系で約10kgの軽量をしたはずだが、前後バンパーの補強とコイルオーバーサス関係とデッドニングの遮音材等で若干増えた様だ。
燃料を除いた実重量は1,465kg辺りとなり、予想を上回った。今後の作業では各々部品の重量測定をしっかりと行いたい。
因みに2009 Z06の車輌重量も併せて測定したところ、1,454kgとなった。燃料は1/4弱で15kgの荷物が載っていたので実重量は1420kg辺りだ。
ZR1用ショートタコ足の検討に入った。タコ足は48mmステンレス製でZR1用。プライマリーパイプ長(排気管)は約30インチ(760mm)と長い。途中で排気管を切断してコレクターを装着したいと考えている。排圧を有効に使いスーパーチャジャーの加給圧の立ち上がりを改善することが目的だ。
タコ足にコレクターを重ねるとこの様な感じになる。
エンジン制御コンピュータのリセッティング。その1
ZR1のECM(エンジン制御コンピュータ)の制御は多いが、コンピュータチューンは主に燃調と点火タイミングを中心にプログラムの変更を行う。点火タイミングはTechⅡ等でも確認できるが、燃調(燃料の濃さ)の確認は必ず空燃比計が必要となる。
燃調には空燃比計でリアルタイムの空燃比を把握する事が不可欠だ。ZR1とZ06共に、もしコンピュータのリセッティングを行う場合は、空燃比計を装着する事が正確なセッティングの第一歩となる。一般的にコンピュータチューニングは目に見えない部分が多く、シャーシダイナモ等での馬力計測だけでは決して完全ではない。理由はシャーシダイナモの負荷が実走行とは違うからだ。もし現車セッティングで空燃比計を装着せずに行うなら、それは現車セッティングとは言えないと思う。
空燃比計のセンサー装着は触媒の手前(エンジン側)となるが、理想的には左右両バンクにセンサーアダプターを取り付ければより詳細が把握できる。
以前の空燃比計は業務用が中心で110万円程度と高価だったが、今は車載型の空燃比計(日本製)がセンサー込みで3万円程度で購入できるので、現車セッテング費用を支払うなら、その一部を空燃比計に充てたい。空燃比計を取り付ける事で随時自分の車のエンジンの状態がチェックできる。またショップでコンピュータのリセッティングを行った場合も、Before/Afterでどの様に燃調(空燃比)変わったかを確認できるので安心だ。
空燃比はZR1で10.8:1前後、Z06では12.5:1辺りがスタートの目安となるが、一般的にノーマル状態では濃い目のセッティングなのでノッキングとの兼ね合いを注意しながら絞り込んでいく事になる。また水温も高くなるとノッキングに敏感に関与するので注意が必要だ。ZR1の場合、水温が90までは点火時期の遅角制御は入らないが、100度を超えると制御が入り遅角する。これはエンジン保護の為だが、要するに水温が高くなった状態では本来のパワーが出ないという事になっている。追ってその2を掲載予定。
Boschのシャーシダイナモで15年近く使ってきたが立派に現役だ。当時は先代ZR-1のチューニングが中心だったが、ロム式のコンピュータだった。ZR-1のECM(コンピュータ)は今と比べると制御が少なくその点ではやり易かった。コルベットのコンピュータチューニングには長年携わってきたことになる。
モーテックのダッシュロガー。最初に使ったのは谷田部の最高速とサーキット走行だったが、故障も無くAVOさんのサポートのお陰でいまだに愛用してる。エンジンの空燃比や点火タイミングだけでなく、アクセル開度や横Gも記録できるのでチューニングには欠かせない。
ZR1に装着するとこの様な感じになる。