Z06/ZR1 馬力測定
Z06/ZR1の馬力測定に関して その1
車輌の馬力(出力)測定には大きく分けて3通りある。
1)エンジン単体の馬力測定 エンジンダイナモにエンジン単体をセットして測定する最も代表的な測定 方法。
2)シャーシダイナモによる馬力測定 Boschのシャーシダイナモが草分けだ。負荷も掛けられ手軽だが、タイヤのスリップ等問題点あり。要ロス馬力計算。
3)Dynapac による馬力測定 車軸より直接測定する方法でスリップは無いが、やはり負荷の掛け方が実走行とは異なる。2)より辛めに見える測定結果となるケースが多い。
測定結果例
昨日、先月納車させて頂いたZ06をDynopack で馬力測定した、とのニュースが現オーナー氏より飛び込んできた。測定は10日の午前中との事だったが、外気温34度と厳しい条件下での測定だったらしい。
測定結果は590馬力で、合計で5回の測定を行ったとの事だが、測定値に大きな違いは無かった。
尚、Dynapack の測定値は辛い事で知られるが、エンジン単体馬力としては約650馬力位になると思われる。
少し以前の計測だが、Cadillac CTS-Vをシャーシダイナモで馬力測定を行った。外気温が10度程の好条件だったのでこの時期とは直接比較は出来ないが、参考のため掲載する。まず完全ノーマル状態では526馬力(補正済み、含むロス馬力)を計測した。因みにカタログ馬力は565馬力(SAE Net)。ブーストアップチューニング後の馬力測定も同じシャーシダイナモで行ったが、結果は631馬力(補正済み、含むロス馬力)となり105馬力アップとなった。
一般的に馬力(出力表示)はJIS Net、SAE Net、DINと大きく分けて3種類となる。JIS Net は日本の馬力表示、SAE Net は北米の馬力表示、DIN はドイツ等の馬力表示となる。一例だが、Z06のアメリカ本国での表示は505馬力だが、日本のカタログでは511馬力と表示されている。同様にZR1は638馬力が日本では648馬力となる。SAE Net 馬力表示が最も辛く、次いでJIS Net となる。
以上の通り、馬力測定は測定装置の違いや、測定方法、SAE/JIS/DINの違い等もある。サスペンションセッティング同様、最後はやはり実際に走って確認してみる事が大切だ。
それとコンピュータセッティングの場合、馬力測定に際し最も重要な事の一つが、現車の装着部品(例えばマフラー等)が適切か否かの判断だ。まずチューニングに先立ちBefore測定を行い、その状態で妥当で想定内の馬力であればOKだが、もし馬力が何かの要因で低い様なら、その原因を見つけ出し、正常な状態に戻してからコンピュータのリセッティングを行うべきだ。特にマフラーの効率等が不適切で馬力が低い場合は、その状態でのコンピュータリセッティングはあまり意味が無い結果になる。まず馬力の低い原因を見つけ出し、本来の走りが出来る状態に戻してからチューニングをスタートすべきだと考える。
同時にこれはチューニングを行う立場として、常に注意しなければならない基本の中の基本だ。
人に例えるなら、体を鍛え筋トレを目指すなら、まず健康な体が不可欠なのと同じだろう。