Z06 VS ZR1
ニュルブルクリンクTEST映像で見るZ06 VS ZR1比較
Z06オーナー氏のブログでZ06とZR1のニュルブルクリンクTEST画像が同時に見られる面白いビデオが紹介されていた。この2日間はそのビデオ画像を左右同時に見る事に熱中した。左側が6/9のZR1、右側に6/25のZ06のビデオとなるが、どちらも同じ車体に搭載された同じカメラで同じ編集と思われるので、シンクロさせて同時に見ると面白く参考になった。また最初は左右ビデオ画像をシンクロさせるのに苦労したが、最後は慣れてきたのか ほぼ正確に同じ位置に合わせる事が出来るようになり、両車の走りの違いがわかる様になった。
Z06とZR1の走りの違いをまとめてみた。
1)Z06は明らかにZR1より思い切ってコーナーに侵入し、またコーナー立ち上がりではエンジン回転数をZR1より約500~1,000回転近く高回転まで回し、アグレッシブに走っていたのが印象的だった。優れた重量バランスのZ06らしい走りで良かった。但し6月下旬の気候では、水温と油温が適温を維持できたかは疑問と興味が残った。
ZR1はクロスレシオミッションと高トルクの恩恵なのか、全般的に低めの回転数を維持して、Z06に比べて手堅いというか慎重な感じで走っていた様に見えた。画面左上のスピードメーターでは、Z06と同等~若干高めのスピードを保っていた様に見えたのと、コーナーリング中はZ06の方が若干スピードが高い箇所もあったが、コーナー立ち上がり後は明らかにZR1の伸びが感じられた。
特にストレート終わりでは20km程の速度差になったが、ZR1は4速→5速を4速6,300回転でシフトアップで5速5,300回転、Z06は4速7,000回転まで引っ張って5速5,100回転だった。やはりクロスレシオミッションは効果がある。
ZR1に比べて高回転型エンジンのZ06にこそ、クロスレシオミッションがマッチすると思う。
通常Z06の最高速は5速で引っ張ることになるが、この場合約5,500回転以上では車速の伸びが明らかに鈍る。ところがクロスレシオミッションではより低いギア比の5速で加速できる、また最高速度も適切なギア比の6速で狙えるので数キロアップすると予想する。
Z06の5速のギア比 .740 Z06の6速のギア比 .500
ZR1の5速のギア比 .818 ZR1の6速のギア比 .675
2)Z06はZR1に比べて、若干上下の動きが激しく時々画面が振動で乱れて見辛い箇所があった。これは7分間全般を通して見られた状況だが、路面の悪い箇所やゴール直前のゼブラゾーン通過時は特に顕著だった。対してZR1は車輌重量が約80kg重いせいか、Z06に比べて終始安定した感じの走行で、上下の動きもZ06に比べて穏やかに見えた。同型車体に同じ車載カメラと思われるので、実際の車体の振動がそのまま画面の振動の差となったと思われる。
ZR1のテスト日は晴れ間が多かったが、対してZ06のテスト日はうす曇りだったので、Z06のTEST日の方が走り易く感じた。またドライバーのJim Mero氏もニュルブルクリンクTESTコースに慣れてきた様に見えた。Z06で見せたアグレッシブな走りで、再度ZR1をTESTして貰いたいと思う。
どちらにしてもZR1とZ06がニュルブルクリンクで好タイムを記録した事は嬉しい。下記はニュルブルクリンクの主なラップタイム一覧だ。レースカー及びレースカーと思われる車輌は削除したので、一般的に販売されているスポーツカーのみ掲載した。漏れや誤りがある場合はご指摘とご容赦願いたい。
順位 タイム 車輌
1 7分18秒 Porsche 911 GT2 RS
2 7分19秒63 Corvette ZR1
3 7分22秒01 Dodge Viper ACR
4 7分22秒68 Corvette Z06
5 7分24秒03 Maserati MC12
6 7分24秒07 パガーニゾンダ
7 7分24秒22 Nissan 35GTR
8 7分25秒03 Ferrari Enzo
9 7分40秒 ランボルギーニムルシェラゴLP640
10 7分40秒 メルセデスマクラーレンSLR
以上の通りZ06/ZR1ともにニュルブルクリンクのラップタイムでは、世界のスーパーカーと肩を並べた以上の結果を残したが、まだまだ質感や雑音の多さ等、改善すべき箇所は少なくない。一例だがZ06とZR1に日本製の防音材、防熱材を追加装着加工したところ、室内の騒音は半減以上の効果があった。デドニング用の材料はヤフオク等で安価に購入できるので試される事をお奨めする。少し手間は要するが、Before/Afterでの快適性は格段に違ってくる。
長年マフラーを工夫して良い排気音を求めてきたが、マフラーだけに消音を求めるのではなく、マフラー+防音加工という考え方も必要と思う。加工後は効果が顕著で、室内で聞く排気音は雑音が減り澄んだ感じで、かなり小さく心地よくなった。特にZ06はマフラースペースが小さく、7Lの大排気量エンジンが搭載されているので、高出力/高トルクと快適な室内音量を確保した消音が極めて困難だった。5年間マフラーの開発を行ってきたが、未だ消音と優れた排気効率を求めて開発途中だ。また市販されている、ほぼ全てのZ06用マフラーを購入してTESTしたが、完成度が高く満足できた物は見当たらなかった。
2006年6月にZ06を購入して以来、この5年間は仕事柄毎日Z06と最近はZR1に接している。おそらくZ06/ZR1の運転席で過ごした時間は、日本国内で最も多い一人になったはずだ。Z06/ZR1は昔風の直線番長ではない事は、今回のニュルブルクリンクTESTでも証明されたと思う。Z06/ZR1は直線番長どころか、立派なハンドリングマシーンと証明された。
Z06ではお約束になった感すらあるリアGTウイングだが、今回のZ06/ZR1のニュルブルクリンクTESTでは、GTウイングは装着されていなかった。
前後バランスの取れた強力なダウンフォースが得られ、かつ低抵抗のフロントスポイラー/リアウイングの市販を目指したい。