ZR1実走レポート No.7
WEST ZR1 710馬力仕様と2009 Z06 550馬力仕様の本気加速テスト。
テスト結果。2009年式Z06は慣らしも完全に終わり、最も調子の良い走行距離だが実に速かった。
3速3,000回転弱で並んで同時に踏んだが、Z06が頭一つ先行した。その状態が6,300回転付近まで続き、6,500回転のシフトアップ手前でZR1が並び、その後はZR1が先行した。3速のギア比はZ06の方が若干低いのと、加給圧が上がるまでのZR1より7L NAエンジンの特性が有利だったと分析した。また2009年式Z06は回し慣れているというか、中高回転のエンジンのピックアップが素晴らしく良いこともプラスしたようだ。
因みに先月テストしたWEST Z06はハイカム仕様の為、やはり3,000~3,500回転はパワーバンドに達する手前なので、加給圧が上がる途中のZR1と3速では並んだようだ。
その後2009 Z06とWEST ZR1で再度4,100+回転付近から3速及び4速での加速テストを行ったが、この場合は加給圧が上がったZR1が先行し、その後差は開いた。この日はZ06のオーナー氏と3時間近くに渡りZ06とZR1を交代したりしながら走ったが、実に充実した楽しい時間を過ごせた。梅雨の晴れ間に気心の知れたドライバー同志で走るのは正に至福の時だ。
ZR1の加給圧の立ち上がりに関して
スーパーチャージャーとタコ足のマッチングが原因で、加給圧の立ち上がりがやや遅れる感じが出る可能性がある。出力特性がハイカムに似た感じになるが、タコ足は排気効率が良いため排圧が掛かりにくいのがその原因と思われる。対策としては点火タイミング等である程度はカバーできるかと検討している。
ZR1のLS9エンジンの加給圧はノーマルが10PSI(約0.7kg/cm)、WEST ZR1では13.5PSI(約.95kg/cm)となるが、このレベルまでの加給圧ではノーマルエキゾーストマニホールドの方が加給圧の立ち上がりが早いというテストデータもあるので、タコ足交換は慎重に行うのが無難。
但し加給圧が15PSI(1.05kg/cm)を超えてくるレベルではやはりタコ足が必要となるのと、何より排気音が良いのが魅力だ。
タコ足装着作業前に加給圧の掛かり具合に関する問題(加給圧の立ち上がりの遅れ)も検討したが、近々次のステップで加給圧を約1.1kg/cm程度までアップする事になるので、今回はテストの意味でタコ足を装着した。次はノーマルZR1との加速等をテストして加給圧の立ち上がりをチェックの予定。また今後は一次排圧を重視し、加給圧.95kg/cm辺りまでの効率と排気音に拘ったZR1/CTS-V用ショートタコ足(プライマリーパイプを~400mm程度)を試作る事も検討開始した。
また加給圧アップに伴いノッキングの危険性が高まるので、ラジエターを大容量に交換して水温の低温安定を図りたい。
それと点火タイミングの新しいプログラムを作ったので早速本日テストの予定。今のところ点火タイミング、空燃比はまだまだ余裕のある数値なので、加給圧と共に今後更に煮詰めたい。
Z06/ZR1の水温と油温に関して
今回のテスト走行で両車の水温と油温が下記の様になった。
2009 Z06 | WEST ZR1 | |
---|---|---|
水温 | 85度~90度 | 88度~90度 |
油温 | 最高115度 | 最高105度 |
油量 | 約10L | 約10L |
オイルクーラー | Z06純正空冷式 | ZR1純正水冷式 |
ラジエター | 大容量に交換 | ノーマル |
サーモ | 低温タイプ | 低温タイプ |
Z06の油温が高めになった原因を検討中だが、7Lの大排気量と高圧縮比が原因と思われる。ZR1は加給されないエンジン回転数域では6.2Lの低圧縮エンジンとなる。先週いつもの峠をWEST ZR1で走ったが、これまでのWEST Z06と比べてかなり油温が低かった。これから暑い季節になるので,特にZ06は油温に注意が必要だ。
両車のスペック
モデル | 2009 Z06 | WEST ZR1 |
---|---|---|
エンジン | LS6 約550+馬力 | LS9 約710馬力仕様 |
冷却 | アルミ大容量ラジエターWEST ECMチューン Lingenfelter吸気システム |
ノーマルラジエター |
マフラー | Corsa | Corsa+WESTサブマフラー |
ミッション | Z06 | ZR1クロスレシオ |
デフギア | 3.42:1 | 3.42:1 O.S技研製 LSD |
ブッシュ | WEST スフェリカル | WEST スフェリカル |
サス | WEST コイルオーバー+Leaf | WEST コイルオーバー+Leaf |
実測車重 | 推定1,390kg(計測予定) | 推定1,430kg(計測予定) |
スポイラー | Z06 | ZR1+前後アンダーパネル等 |
後輪サイズ | 325/25ZR20 | 325/25ZR20 |
試作Dry Carbonウイングが届いたので早速装着の検討を開始する。効率、取り付けの高さ、後方視界、デザイン上のまとまり(カッコウ良さ)の兼ね合いが難しい。ストリートタイプは、できればダウンフォースの効率妥協点ギリギリで低めにしたいと考えている。また装着はリアハッチではなく、フレームにブラケットを直付けで取り付け強度を確保したい。フレームに固定されたブラケットと上部のステーはリアバンパーから立ち上がる構造でZ06/ZR1専用となるが、価格は汎用GTウイング並に抑えたい。
試作Dry Carbonウイング、取り付けステーの幅は十分な強度の確保ができ、かつZ06/ZR1のテールレンズ内側なる様にした。一般的にウイングはスポイラーより大きなダウンフォースを少ない抵抗で得られる利点がある。因みにフロント側ではアンダーパネルがカナードより同様の効果が期待できる。
以前に製作したウイング取り付けブラケット。材質は7075ジュラルミン、厚さは8.2mmでアルマイト仕上げ。上下2分割で上の部分は裏返す事で、ウイングの前後取り付け位置を換えられる。
ウイング取り付け例、車は1996年頃に製作したWEST ZR-1 5号車。有効なダウンフォースを得るためにフロントアンダーパネルとリアウィング&Diffuser等を装着している。