ZR1実走レポート No.6
Katech社製ZR1(LS9)用ハイボリュームOILポンプ。純正ZR1用ポンプをベースにPressure側とScavenge側共にボリュームアップされている。Z06と比較してZR1は油圧が若干低いのが気になっていたので、その改善策としてテストすることにした。ポンプの交換はGT9 750馬力仕様カム交換時に併せて行う予定。これまでZ06/ZR1共にチューニングは穏やかなレベルだったが、今後は出力アップに伴いこれらの煮詰めが必要となる。
6L以上の排気量と空力的にも優れた軽量ボデーのZ06/ZR1が本領を発揮する日は遠くない。更に加給圧アップで700馬力超は余裕で可能、望むなら1,200馬力超も可能で、かつ車輌重量が1,400kg台に収まるのが大排気量ZR1だ。ある意味、出力を阻むエア-リストリクターが無いストリートやスポーツ走行でないと本当の実力が発揮できないのが現実なら寂しい気がする。
日本車のチューニングレベルは高い。特にGTRが素晴らしい車と言う事には全く異論は無く、かつては個人的にもGTRを所有したことがあり、今後の購入検討の気持ちもある。だが1,800kg近い車輌重量で3.8LV6エンジンにAWDという組み合わせではスポーツカーというより、優秀な全天候型高速AWDトランスポーターと感じる。少しダイエットしてスポーツカーの色気の様なものが加わればより素晴らしい。
対してZ06/ZR1は今や古典的とも云えるかもしれないが、スポーツカーの原点を感じる。AWDもハイブリッドも無縁だが、大排気量エンジン搭載の軽量な車体に、4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションというスポーツカーの基本を忠実に守っているのが良い。更にパッケージングの良さが光る。フロントミッドシップ搭載されたエンジンは剛性が高いV8、更にトランスミッションはデフと一体で後部にマウントされ、堅固なトルクチューブでエンジン後部と連結される。最新のレクサスLFAやM.Benz/AMGのSLSも極めて近いレイアウトとなっていることからも、Z06/ZR1の基本設計が優れていると云えるだろう。それと日本車にはない奔放なボリューム感と華やかさのあるボデーデザインが、何とも色気というか非日常性を感じさせるのが良い。
OILポンプの各ポートは研磨されている。
750馬力ZR1用GT9カムシャフト。Lingenfelter社製でリフトと度数は純正Z06カムシャフトより若干大きいが、ラフアイドルではなく穏やかなハイカム仕様。因みに620馬力のWEST Z06はGT19カムシャフトとなる。これは典型的なハイカムで軽量なトリプルカーボンクラッチとの組み合わせで鋭い吹け上がりが特徴だったが、エアコンも問題なく何よりも走りが楽しめた。
主なZ06/ZR1カムシャフトスペック
度数 | リフト(インチ表示) | |
---|---|---|
GM LS7(Z06純正カム) | 211/230 | .591/.591 1.8:1 Rocker Arm |
GM LS9(ZR1純正カム) | 211/230 | .562/.558 1.7:1 Rocker Arm |
GT9( 750馬力ZR1カム) | 215/247 | .629/.656 1.7:1 Rocker Arm |
GT19(620馬力WEST Z06カム) | 227/239 | .678/.688 1.8:1 Rocker Arm |
Katech社製リアスポイラー、なかなかアグレッシブな雰囲気になる。約4cm高いので大きなダウンフォースが期待できる反面Dragも若干増えそうだ。材質はDry Carbon製だが、表面の仕上げは良くも悪くもRace Car Quality Carbon。まずクリヤー塗装再仕上げと正確に装着できるよう擦り合せが必要。特に両端は仕上げが粗くバンパーとの隙間が大きく見える。また固定ビスがセンターの4本のみなので、これもZR1同様に10本止めにして隙間なく装着したい。
今週はリアウィングの試作品が届く予定。翼端板の形状を機能的に工夫してZ06/ZR1のボデーに上手くフィットさせたい。取り付けはリアフレームにブラケットを直止めして強度を確保する方針。経験からウイングステーは車の牽引が出来る程度の強度は最低限必要と考えるので、素材は7075ジュラルミン板材8mm程度とする事にした。Z06/ZR1専用Carbonウイングとして近日中に発売する。
納車整備中のWEST Z06。BremboブレーキやZR1ミッション等はZ06純正になる予定だが、左右リアハブベアリングは純正新品に交換した。雨天未使用、買い物ドライブ一切無しの箱入り娘的Z06だ。洗車も全て自分で手洗い、ワックス掛けもシュアラスター限定で自分で行った。鋭い吹け上がりと機敏な走りはZR1とは違った楽しさがあり、いつものコースを走るのは至福の時だった。ZR1テストデータ応用を検討開始だ。