Z06実走レポート No.7
(1). 12月2日にBorlaがようやく届いた。
取り付けの関係なのかマフラー本体は意外に短いのが第一印象だ。マフラーにはXパイプ付の中間パイプも含まれている。さて重量は左右一体構造で14kgと軽い。GM純正とCORSAは共に20kgをオーバーするので約6kgは軽いことになる。パイプはウルトラスムースな曲げとBorlaのカタログでは主張しているが、CORSA等他のメーカーとの大差は無いと感じた。尚、BorlaのパンフレットではZ06に装着した場合、後輪出力で約30馬力近くアップしたと測定グラフ付で紹介されていたが、オーバーではない事が後で確認できた。
(2). 早速Z06に取り付けてみた。
まず出力の違いをチェックする為、次のとおり段階的に交換してみることにした。現在の仕様はステンレス製1 7/8″タコ足+アメリカ製触媒+Z06純正マフラーが装着されており、出力、音量、音色ともに意外に良く気に入っていた。
この状態でマフラーのみBorlaに交換してみた所、アイドル時の音が明らかに低音の効いたサウンドに変わった。音量は丁度良い位だがアメリカ車らしい音色というのが最初の印象。走りは明確に変わった。率直な所確実に一回り速くなった。加速中の音量も一回り大きく、強いて言えば強い音になったと感じた。高速道路テストでの印象は、速い!排気音はご立派!といった感じだ。特に5000~7000回転は純正マフラー時では弾けるような排気音で速かったが、より力強さが増した。例えば2速、3000回転付近からアクセルを全開にした場合、これまではなかったスピンが発生した。また1速からのスタートは確実にトラクションコントロールが効いてしまい、かえってコントロールに慣れるまではもたついてしまった。
上記の通り、Borlaマフラーへの交換で確実に出力の向上が確認できた。結論としては、正解だったと断言できる。特にアメリカ車サウンドが明確になった。
(3). 次は触媒を日本製に交換してみた。
前述のとおり、タコ足に付属したアメリカ製触媒は容量が小さいのが気になっていた。日本製触媒は二回り程大きく、特にセルが粗く抜けが良さそうに見える。装着後、まずアイドル時の音量は少し控えめというか、澄んだ音色に変わった。周りに確認した所、音が小さくなったとの意見も聞かれた。少し吹かしてみると軽く小刻みな感じで吹け上がり、明らかに違いが確認できた。構造的に触媒本体はマフラーに近いせいか、サブマフラーの様な効果が有るらしい。走りは大きな違いは確認できないが、触媒が変わったことで特に高回転でカーンという感じが強くなったようだ。触媒の排気効率が良い分、高回転での出力向上は有るはずだ。かと言って低速のトルクが減った感じは微塵もなかった。
これは好みの分かれる所だが、アメリカ車らしい音色とは少し違った大排気量高回転サウンド(強いて言えばZR-1のような)に感じた。その後200kmの高速道路テストを行ったが、1500~1800回転位では少しこもりが気になったが、良い意味で意外だったのは3000~4000回転でのクルージング時の静かさだった。これは同乗者にも確認したが、大排気音が苦手な家内も静かさに驚いていた。通行量の少ない高速道路での4~5速3000回転~付近のクルージングは素晴らしいの一言に尽きた。また3500回転位でトンネルに進入後、アクセル全開で加速すると凄まじい衝撃波的な排気音が響き渡った。これぞスポーツカードライビングの醍醐味、久々に至福の時間を過ごせた。やはりZ06は素晴らしい。
Z06に乗ってはや6ヶ月が経過したが、今後タイヤ、ホイール、ブレーキ関係、シート等を適切な物に交換して最終的には1290kg程度の車重が可能と思う。また各部の雑音対策もかなり完了した。結果的には排気管、後部ブレーキダクト、スタビ周りが主な雑音の発生源だった。速さだけでなく日本人の感性で高品質なZ06に仕上げてゆきたい。遅れているが、年内中に616馬力仕様へのカム交換等を完了の予定。後輪のタイヤ、ホイールがサイズアップした。
入荷したBorlaマフラー、品番は#10192の標準タイプだ。造りに問題は無いが4個のカッター(TIP)がかなり大きい事と、OUT側のパイプ径が50mmと細いのが気になった。因みにIN側76.3mmを2本に分割した場合、断面積計算では54mmX2本が必要となる。50mmでは高回転時の出力に影響がでるのでこれは是非とも改めたい。近日中に54mm(2 1/8″)パイプで試作と馬力測定を行う予定。右側は取り外したZ06純正マフラー、重量は軽くないが造りはしっかりしている。最初にタコ足を装着した時にこの純正マフラーを組み合わせたが、意外に悪くない排気音で高回転までスムースに吹き上がった。
装着作業中の様子、写真の通りタコ足と排気センターパイプを取り外し、同時にフランジとXパイプも交換した。Borlaマフラー、センターパイプ共に、取り付けには大きな修正無く装着できたが、きれいに左右が傾かず同じ様に取り付けるには、若干の手直しと作業時間を必要とした。これはアメリカ製マフラー全般にも言える事だ。
タコ足の集合内部と取り付け状態だ。タコ足等のアメリカ製パーツは比較的低価格なのは有難いが、ポートのマッチング、内部の仕上げ、取り付け位置に関してはあまり正確ではない。今回も右側O2センサーの取り付け位置修正、集合部分のバリ取りと研磨、ポート合せ等を行った。それと写真の耐熱布巻きは必需品。C5に比べて、Z06はドライサンプOILパンが小さく、タコ足部分のスペースに余裕がある。タコ足のパイプを2インチ程度延長し、差し込み式集合を装着する事で排気効率の向上を期待できそうだ。
C5とC6のフレーム中央部分は共通らしい。画像中央に日本製触媒を2個装着したが、フレーム部分にC5同様の触媒装着スペースがある。C6は全てのモデルでExマニホールド直後に触媒が装着されているので、この触媒スペースは不要のはずだ。ところがタコ足を装着した場合は、集合部分が後方になり、それに伴い触媒も約60cm後方になる。丁度この位置に装着できるので都合が良い。
それと今回の作業でXパイプの位置を変更した。
以前はXパイプ→触媒だったが、今回は触媒→Hパイプにした。出力的には明確な差は感じないが、排気音は若干の変化を感じた。Xパイプ→触媒の方が、クォーンと小刻みな排気音に聞こえ、やや小さくなった様な感じた。いずれこの点を正確に測定等の予定。右側の写真はミッション横の排気パイプ、3インチと太いがスムースできれいな曲げだ。気になったのは差込部分が逆になっている事だ。通常は排気の漏れを嫌い後ろ側を大径にして接続するのが一般的だ。
ところで排気管の色は、新品の装着時はステンレス色だが、走行後は焼けて徐々に茶色くなってくる。この色の具合とマフラー出口の様子で、排気温度や空燃比が予測できるが、今のところもう少し絞り込めそうな感じだ。経験的にV8シボレーエンジンでの理想的な空燃比は12.5~13.0位だった。