Z06実走レポート No.3
(1). 32度以上の真夏日続く中Z06の走行テストを繰り返す。エンジン回転を6500付近まで引っ張るがまったく軽く回るのは立派。但し水温に敏感に反応し、水温が95~97度位までは問題無いが103度あたりを越えると高回転での伸びが明らかに鈍る。車体の軽さと高回転型のLS7の恩恵を実感するが、油温と水温の上がり具合が問題と実感した。
経験的にシボレーエンジンでは水温80度~90度、油温は90~100度程度に保ちたい。ところがコルベットは一般的に水温が高く設定される事が多く、残念だがZ06も例外ではなかった。特に問題は油温の上昇に対し水温の上昇が早すぎ、走行中も常に油温が水温を下回った。
これは問題。エンジンOILはメーカー指定の5W-30は絶対に守るべし。間違っても15W-50等の硬いオイルは一般道では使用すべきでない。気温が30度超の真夏でこれでは、秋、冬の油温管理は絶対必要と思われる。低すぎる油温は決して良くないどころか危険。適度な油温を保つ事は絶対に必要と経験上言える。適度な油温は潤滑だけでなく、OILに混入したガソリンを蒸発させる効果もある。OILに混入したガソリンが蒸発しないとOIL粘度を下げ、エンジンの破損につながる恐れが有る。
今後の課題としては、まず水温の安定を図る事とする。
- 具体的には容量を増やしたラジエターの装着と電動Fanの作動温度を下げる。
- 空気の流れを積極的に増加させるエンジンフードの製作。
- エンジン室の熱をやはり積極的に抜く構造にする。同時にフロントバンパー付近の空気吸入口をより効果的に改造。
- また必要なら夏場のみヒーター回路を利用したサブラジエターの装着も検討する。右前のOILタンク付近に設置すればバランス上も問題ないので実際に装着テストの予定。サブラジエターには日本車のヒーターコアを使用するのが安価で信頼性も有った。因みにZR-1#5ではエスティマのヒーターコアを#12ホースで配管した。
ところでパワーバンドは4000~6500+で従来のアメリカ車とは確実に異なる。FerrariやZR1に搭載されたLT5のサーキット仕様に近い感覚で踏めた。水温の問題は有るが、本当に走りが面白く「Z06にはまっている」というのが率直な印象だ。その為にも安定した水温管理が不可欠なので対策の予定だ。
(2). OS技研製スーパーLSDを装着した。まず普通の走行ではまったく装着を感じないが、出足は劇的に変化した。Z06は先代C4、C5同様3.4のデフギア比だが1速全開で食いつき加速したのには驚いた。それと高速での安定性が確実に向上したのも実感できた。
良い偶然と思うが、ASR(トラクションコントロール)が加速の邪魔をする頻度が減った。正確な表現は難しいがASRが作動するギリギリのところで加速している。つまりASRが作動するとパワーOFFになるが左右の後輪が食いついているのでパワーOFFにならない。左右後輪が食いついているせいだが、とにかく1速が速い。
FRの大排気量車の場合、従来は1速はハーフで2速全開というのがタイムの稼げる走り方と思ってきたが、LSDの交換でこの常識が完全に覆された。それとLSD交換で高速走行での安定性が確実に増したのも上記の通り実感できた。確実に効き、まったく装着を感じさせない(異音の出ない)LSDは説明のしようが難しいが、事実である。一度装着したら離せないLSDと感じている。特にC6コルベットのAT仕様はLSD無しとのことだが、LSDは絶対に必要。
因みにLSDの交換の際デフを下ろしたが、6MT後部のオイルシールよりかなりのOIL漏れが確認された。幸いこの部分のシールはC5と共通だったので交換したが、相変わらずの品質に軽い失望を感じたが、それでもZ06は楽しい。
尚、C6のゲトラグ製デフはケースが大幅に進化しているのが確認された。デフケースの外側だけでなく、内側の肉厚、リブ形状が完全に変更されて丈夫になった。シャフト長はC5より少し延長された。後日談、デフより若干のOILにじみが確認された。調べた所、原因としてデフのブローバイの容量不足が考えられた。標準ではブローバイパイプがデフの左側のみ装着されているが、対策として右側にもブローバイパイプを追加をする事にした。尚、この問題はC5にも共通している。C5でも同様のパイプ追加テストの予定。
(3). さてExマニホールドの交換に着手した。因みにZ06のEx関係の重量はExマニ11.2kg、中間パイプ8.8kg、リアマフラー11.9kgで排気関係の合計は55.0kgだった。因みにアメリカより届いたCORSA Z06用マフラーの重量は11.2kg。但し消音効果は疑問の構造に感じたが、近日中に装着テストの予定。また本体を切り開き内部確認と改造の予定。
今回はExタコ足、センターパイプのみ交換でリアマフラ-は使用したがそれでも8.4kgの軽量化が達成できた。この重量にはもちろん触媒も含み車検対応と判断している。
さて走りは上記LSDの交換同様、劇的に変化した。アイドリングでの排気音はノーマルとほとんど変わらないが、2000回転以上では力強いサウンドに変わり4000回転以上ではまったく別物になった。実際、速さはノーマルとは確実に一線を画する。問題点はExタコ足のO2センサー取り付け位置。エンジンの振れでO2センサーがフレームに接触した。これはセンサーの取り付けアダプターを一旦切り取り、再溶接の必要がある。十分スペースの余裕があるはずが、ラフな取り付け精度に疑問が残る。
このExタコ足の良かったのは、LS7になってドライサンプ用OILパンを採用された事が幸いしてクリアランスが増え、Exタコ足を装着しても低くならなかった点である。リフトアップして横から見たがわずか1cm程度で収まっていた。C5では1 3/4″のタコ足が限界で下に25mm程度出たが、Z06では1 7/8″とワンサイズ太いタコ足が装着できた。
ここの所、水温の高い悪条件でのテスト走行が続いているが、距離が伸びるにしたがってエンジンのなじみのせいか、確実に速くなってきたのが嬉しい。水温が95度付近を維持し、6000回転~7000回転ではじける様な排気音を感じて走る時はかなり速い。水温が103度付近ではノッキングとリタードのせいか、上記の回転数でもはじけるような排気音がややこもり車速の伸びが鈍った。
タコ足+ノーマルマフラーは低速では静かで、高速は豪快だが意外に快音で乗りやすい。
経験的にはナンバー付きのコルベットではZR-1#5に次ぐ速さだ。矢田部で316kmを記録したZR-1#7はハイカムのせいか、高回転になるにしたがってスムーズに速度が伸びたが、強烈な感じは少なかった。やはりZ06は7Lの排気量が生み出すトルクが効いているようだ。
近日中の軽量化予定は、ブレーキローター、キャリパー、シート交換で計50kg。どのような効果が出るか交換後が楽しみだ。
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(4). 次は大容量ラジエターと低温サーモへの交換、軽量ブレーキロター装着、吸気ダクト装着エアフロセンサー、カムシャフト、PCM交換等でいよいよ本格的に600馬力以上をを目指す予定。速さだけでなく、アイドリングの変化、水温変化、乗りにくさ等、本音のテストと率直リポートの予定。
(5). 1200kmをZ06で走った実感だが馬力はかなり十分ともいえる。特にコーナーの連続したワインディングを走った場合、今のエンジン特性と出力がマッチして乗り易いのも事実。またアイドリングの安定、渋滞時の問題等を考慮して下記の仕様でPCMを製作することを決めた。
Z06ノーマルカム、1 7/8″Exマニホールド、高効率マフラー、高効率エアクリーナー、高効率エアフロ等を装備して乗りやすく快適な、目標ノーマルプラス50馬力仕様。
余談だがZ06のカムシャフトのリフトと度数は驚きだ。一昔前のビッグブロックのハイカムに近い。このハイカムをうまく制御したPCMで走らせているのだが、メーカーチューンは流石だ。
(6). 現在開発中パーツはドライCFフード、ショック、スフェリカルアーム等あるがいずれもかなり煮詰めた自信作だ。もちろんホイールは鍛造ワンピースのTE37だ。おそらくZ06専用ホイールでは世界一の軽さと精度、強度を誇る。純正サイズと競技でも使用可能な18-12.0Jがまもなく発売予定。その後に純正サイズの18-9.5Jと19-12.0Jが続いて発売になる。またコントロールアームに使用のベアリングはNMB製ステンレス高荷重タイプ16MBWTを使用。ドライカーボンフードはもちろん日本製(鈴鹿製)、ショックはビルシュタインを選択した。
Z06等大排気量車は気温が下がると水温も下がる。秋の深まりと共に速くなるのがこれからで楽しみだ。
OS技研よりOS技研製LSDが組み込まれたデフが送り返されてきた。C5に比べ、C6ではデフケースがかなり強化され、デフOIL量も1L程度増えた。上に見える黒いコネクターが付いた部品はスピードセンサー。やや左下側に見えるのがデフ用ブリーザーだが、デフ装着後このブリーザーの容量不足が原因のOIL漏れが発生した。その後ブリーザーの容量を増やしテスト中。この点は改めてリポート予定。さてOS技研製LSD装着後の実感はすばらしいの一言だった。特に静かなスーパートラクションタイプは全く装着を感じさせないが、LSDが効いた状態での加速、トラクション、直進性はノーマルの比ではない。
C5、C6共にデフはリアサブフレームを下ろしてから取り外す構造。エキゾーストの脱着とアライメントの確認、再調整が必要。ブレーキキャリパーはラインをはずさずにキャリパーをよければ作業可能。すっきりしたデフ周りが印象的。本来FR用の6速ミッションにゲトラグ製デフをドッキングしたC5,C6のトランスアクスルには疑問が残る。剛性不足、OIL漏れ、シフトの渋さ、重い重量、等々だがC6に進化したはずが意外にC5部分も多かった。
デフを下ろした後、ミッション後部のアウトプットシャフトシールからかなりのOIL漏れを発見した。幸いC5と共通部品だったので直ちに交換した。デフはかなり重く25kg程度、T56ミッションが65kgなので90kgとなる。理想的には一体構造のトランスアクスルで70kg位かつ高剛性OIL漏れ無しが欲しい。C5はデフのOIL漏れがかなり発生したが、C6も心配だ。
アメリカ製Z06専用エキゾーストマニホールド、通称タコ足。パイプ径は1 7/8″の48.6mm、集合は76mm、かなり等長でおおよそ800mm 集合はプレス加工ながら正確でピラミッドも付き排気干渉を防ぐ形状に仕上がっている。集合の後部で一旦67mm程度まで絞りメガホンで76mmまで広げているのは理論に忠実。材質はSS304。コスト面と実用性を考えれば納得がいく。因みに同じ物を国内で作ると1,5倍以上は必要となる。気になったのはXパイプとの接続部分及びO2センサーの取り付け位置(右のみ)がフレームに近かった事だが、これも取り付け時に修正可能。(※写真左)
Z06純正EXマニホールド。EXポートはDポートのヘッド出口にほぼ正確に合っていた。このEXマニホールドは写真の上部とそれに接続する下部から構成されているが、やはり長さが不十分だ。上部と下部の長さの合計で25cm~30cm程度なので、ターボを装着する場合は使えるかもしれない。 経験上、各パイプの長さは最低限各シリンダーの容量以上は確保したいと考えている。例えばタコ足の場合、7Lで8気筒なら気筒あたりの排気量は875ccとなる。1 7/8″のパイプだと肉厚を1.5mmとすると内径が45mm程度になり30インチの長さとすると1200cc程度になる。上記の616馬力KITにタコ足が含まれているのが納得できる。以前の物と比べると良くはなったが、やはり交換したいパーツだ。(※写真右)
タコ足装着後だがすっきりした印象を受ける。この後耐熱布を巻いて完成となる。プラグブーツとの隙間も十分、またヘッドのExポート出口からの形状も均等でこのタコ足が気に入っている。ポート形状はノーマルと同様のDポートとなる。(※写真左)
このタコ足でよかったのは取り付け後、車体の下にわずか1cm程度下がっただけだ。C5ではOILパンの形状でクリアランスが少なくワンサイズ下の45mmタコ足でも2.5cm下がった。ドライサンプ化でタコ足の取り付けスペースに余裕が有ったのが良かった。(※写真右)
車体下側からのタコ足、Xパイプ、触媒取り付け後の様子。エンジンルーム同様すっきりした印象を受ける。但し、Xパイプと触媒の位置関係は疑問が残る。従来の位置関係とは逆だ。近日中に集合→触媒→Xパイプで音量の変化と、トルク、馬力測定テストの予定。(※写真左)
写真の日本製メタルキャタもテスト予定。最も容量の大きいGT-R用を2個装着の予定。排気の浄化、効率は全くOKだが高価格が問題だ。最近のキャタライザーはかなり進化したらしくダイナモで馬力を測定しても装着前との差はごく僅かだ。因みに日本製メタルキャタはZ06純正キャタよりも容量が2割程度大きいので期待できる。(※写真右)
Z06にETCを取り付けた。
見えない取り付け場所としては、センターコンソールBOXがシガライターのソケットもあるのでこれは便利と一旦は取り付けたが、熱の問題が発生した。C4、C5、C6共に車体中央に2本の排気管が装着されているが、この排気管の熱が半端ではなく、その上にあるセンターコンソールは当然熱の影響をまともに受ける。外気温30度以上の真夏日のテストドライブでETCカードをチェックしようとコンソールのカバーを開けた時、ETC本体が触れない位熱くなっていた。
流石にこれは問題と判断し、助手席前のグロ-ブBOXに再取り付けする事にした。電源線を取るのが多少手間だが写真の通りBOX上部にすっきりと収まった。貼り付け式のアンテナはNAVIアンテナに並べて設置した。フロントウインドーとダッシュ上部に挟まれての取り付けは作業し辛いが、取り付け後外からよく見えるので、NAVIアンテナとずれないよう正確に貼り付ける事がポイントだ。マスキングテープ等で位置出しをして、外から確認後に貼り付けるのが無難と思う。尚、ETCは三菱電機製のスピーカー一体型だが、グローブBOX内に取り付け後でも音声は良く聞こえた。やはりカードの防犯を考えるとグローブBOX内が安心だ。
後日、暑い日にテストドライブしたが、グローブBOX内は全く問題が無かった。取り付け所要時間は約3時間弱程度を要した。尚、C6コルベットの場合電源線をヒューズBOXより取り出したが、C4、C5に比べて電源の確認に手間取った等あったが、今やETCは絶対に省くことの出来ない装備だ。